守谷市と水海道市との境界線の近くの県道沿いにあり、社務所や鳥居がたっており道祖神が祭ってあった。
過去形だというのは、正確には、ついこの前まではあったが今は取り壊されたからだ。
ここは、怪談の場所でもある。いわゆる霊感スポットだ。
守谷市と水海道市、野田市を結ぶ県道沿いにあり、昔から、かなりの交通量のある場所だ。沿道には、民家や畑、コンビニがあり田舎の長閑な風景も楽しめる。
昔この場所の民家の前で、二人の薬の行商人が待ち合わせをしたという。
富山の薬売りなのか、薬を背負って、田舎を売り歩く、昔よくあった仕事だ。
一人がこの場所に先に付きもう一人を待っていた。しかし、待てど暮らせどもう一人の仲間が姿を現さない。不審に思った男が、そこにあった家のあたりを探していると、外にあった大きな手掘りの井戸の底になにやらあるのを見つけた。
実は、仲間の薬屋は、そこで襲われ、殺され、売上金を奪われ、井戸に投げ込まれていたのである。
以来、この井戸からは、夜になると化け物が現れて、地元の人たちに恐れられる場所になったのである。その罪のたたりをしずめるため、道祖神やその他の神をたてまつっていたのである。
因縁の井戸は残っていたが、民家はなくなり、その跡地に道祖神や別の記念の銅像が立ち、きれいに整備されもかなり大きな開けた小高い石積みの公園広場になっていた。
この広場は、やがて信仰の対象になり、心いやされるスポットになっていたのである。
しかし、いまでも、この井戸から、夜になると、何やら黒い大きなものが出てくるような気がしたのである。
ところが数か月前から、この広場に巨大な重機が入り、道祖神広場の破壊が始まった。
巨大なユンボが銅像のみならず道祖神の古い石も破壊し、がれきの山にして、ダンプで運び出した。何本も並んだ鳥居もなぎ倒し、踏みつけ、泥まみれにして、粉砕した。
地元の人たちは啞然として、その暴挙を眺めているしかなかった。
だれがやっているのだろう。たたりがなければよいのだが。
つづく