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ハイビスカスティー

ハイビスカスティー

 

ハイビスカスティーは、ハイビスカスの花の後に出来る実を原料としている。

ハイビスカスの実を乾燥させたものを、湯で煮だすと出来る。

エジプトの国民飲料で、クレオパトラも愛飲したと言われている。

鮮やかな赤色と、爽やかな酸味、シソのような芳香が特徴のエキゾチックな飲み物だ。

暑い時に冷やして、少し砂糖を入れて飲むと、暑気払いに極上の飲み物だ。

酸っぱさはハイビスカス特有の環状クエン酸に由来し、血圧降下作用がある。

冬はホットのままのんでも旨い。

 

その赤色をめでて、紅茶とブレンドしたティーバックも売られているが、それでは、本当のハイビスカスティーの良さは分からない。

 

ハイビスカスティーは、現地エジプトでは、カルカデと呼ばれている。

私は、以前、大手食品会社で飲料の開発をやっていた。その時、フランスの三ツ星レストランのオーナーシェフであるアランサンドラが、自分の店で出している、オリジナルドリンクであるカルカデを日本で発売しないかということになった。

助手といっしょに来日した、アランサンドラは、さっそく、私の居た研究所で、カルカデを作ることになった。彼は、料理は健康を増進しなければいけないという哲学の持ち主で、カルカデも大変体に良いのだと、力説した。初老だが、無精ひげに、長髪をちょんまげにゆい、高価そうな眼鏡をかけた、フランス人らしいオシャレな芸術家タイプの人だった。

彼の凝ったカルカデつくりは、私もてつざわされた。ハイビスカスの実に、レモンやオレンジの皮、シナモンやバニラなどスィックのままの各種スパイス、中国スパイスも隠し味に加えた。柑橘の皮は、丁寧に、表面のピールの部分だけをうすく、包丁で向いて使った。香りのある皮を薄く向くのは結構むつかしく苦労したのを覚えている。白い皮や果汁は使わない。大きな鍋に、これらの材料を入れ、水、砂糖を加えて、煮込むのだ。濃い赤い液体が煮立ってくると、火を止め、冷蔵庫で一晩冷やして出来上がりた。

 

翌日、アランサンドラオリジナルのカルカデを試飲してみて、その、おいしさに驚愕した。なんという香りのハーモニー、コクのある味わい、これがパリの三ツ星レストランの味かと感激した。

これを大量生産できるように、仕立てるのが私に与えられた仕事なのだ。

しかし、この玄妙な味を工業生産向きの処方に書き換えるのは至難のわざだ。

 

昔、コカ・コーラもカルカデと同じように、煮だした薬的飲料から始まり、今の処方に完成されたものだ。未だに、コカ・コーラの処方は極秘中の極秘となっている。

 

短時間で、工場向けのカルカデの処方をつくることは、しょせん無理だったのだ。

それでも、オリジナルの良さをすこしでも残した処方をつくり、実際に商品にして、発売したのだ。

でも、あまりに、ユニークな味だったので、一部、熱烈に支持する人はいたが、大衆向きではなく、やがて市場から消えた。

それから数十年。私はハイビスカスの実を使って、オリジナルのカルカデをお客さんに思い出ばなしとともに提供している。